えほんだより1通目

東京都防災士会のマガジンで連載を担当させて頂くことになりました。テーマは、防災や災害伝承を描いた絵本について。防災を学ぶ上で絵本がとても《頼り》になること、そして私からあなたへの毎月の《お便り》として、『えほんだより』と名付けました。マガジンだけだともったいないので、ブログでも発信していくことにしました。私信のように読んで頂けると嬉しいです。

まずは少し自己紹介を。
私は2001年から2019年までTOKYO FMで報道所属のアナウンサーとして災害報道や防災啓発番組に携わり、被災地取材も数多く経験してきた防災士です。東日本大震災の発生時は、発災直後から6時間以上にわたって報道特番を担当したほか、首都圏での有事の際はラジオ局の垣根を越えて協力する枠組みの中、防災キャスターとしても活動していました。
一方で絵本専門士でもあり、2010年〜現在もTOKYO FMとエフエム大阪で絵本朗読番組のナレーターを務めています。でも、絵本専門士とはなんぞや?ですよね。これは国立青少年教育振興機構による制度で、絵本に関わる実務を原則3年以上経験していなければ挑戦できない狭き門の資格なのです。なお、この「防災士」「絵本専門士」という2つの分野で同時に活動するアナウンサーは、まだ私だけのようです。

私は東日本大震災の被災地で取材を重ねる中、その地域でしか出版されていない、被災当時の様子やその後を描いた絵本に何冊も出会いました。これを埋もれさせてはならないと集め始めたのがきっかけで、今では国内で出版されたほぼ全ての災害伝承・防災絵本を所有・研究し、それらの絵本を活用した親子向けの防災ワークショップや講演、メディア出演などの活動を行なっています。

防災を学ぶ上で、絵本がなぜ重要なのか?それはこんな理由です。
まず、「その時」に何が起きるのか、人々はどう思ったのか、命を落とさないためにどんなことをすべきなのかなどが『選び抜かれた言葉と絵』で描かれているため、年齢や性別を超えて誰もが等しく理解することができます。また、写真や映像では衝撃が強くなりすぎてしまう被災の状況も、絵本であれば年齢や体験に合わせた表現のものを選ぶことができます。そして最も大切なのは、絵本はそこにあればいつでも手に取って、繰り返し読むことができます。この繰り返すという行為こそ、防災の知識や行動を身につけるために必要なことです。
そこで、この連載では毎月特集を組んでおすすめの絵本を紹介。絵本を入り口に防災にまつわる話もお届けします。

さて、すっかり自己紹介が長くなってしまいましたが、今回ご紹介する絵本はこちら。
「どうぶつポーズであそボウサイ」(作と絵 かなざわまゆこ、監修 こがりょうこ、 KADOKAWA)
僭越ながら、私が監修して今年1月4日に発売となった絵本です。この絵本は、客観的にどうしてもご紹介したい理由があります。それが、日本で唯一(もしかしたら世界で唯一)2〜3歳からの幼児さんを対象にした、しかも楽しい防災絵本だからです。地震から命を守る行動を動物のポーズになぞらえ、子どもが「たのしい、かわいい、もういちど!」と繰り返し読む中で、いつの間にか行動が身に付くように作りました。フワフワのねこさんやうさぎさん、コアラさん、おめめクリクリのハリネズミさんなど、作者・金澤麻由子さんの可愛い絵は子どもたちに大人気!防災で楽しいなんて不謹慎と思わず、お子さんとぜひ一緒にこの絵本で遊んで頂けると嬉しいです。

それではまたお便りします。それまでどうぞお元気で。
古賀涼子

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